水槽に水草は必要?入れる理由は?
アクアリウムを楽しむ上で重要なアイテムのひとつが水草です。水草をレイアウトすると水槽の景観が華やかになるだけでなく、水質を浄化したり、生体のストレスを軽減したりするなどの働きにも期待することができます。
今回は、水草の役割や水槽に水草を入れるメリット、育て方や初心者におすすめの水草などについてご紹介します。
水槽に水草を入れる理由は?
1.酸素を供給する
水草には、水中の二酸化炭素を吸収して酸素を排出する役割があります。水中の酸素は魚などの生体だけでなく、バクテリアにとっても必要不可欠な存在です。
2.水質を浄化する
水草には、水中の硝酸塩を吸収する役割があります。硝酸塩はバクテリアがアンモニアから分解した物質で毒性は低いのですが、生体にとって良い物質ではないようです。しかし硝酸塩を分解するバクテリアが存在しないため、水換えなどを行って水質を保つ必要があります。水草に吸収してもらえば水中の硝酸塩を減らし、水質の悪化を防ぐことにつながります。
3.生体の隠れ家になる
水草は生体の隠れ家にもなります。生体を混泳させているといじめやケンカが起こりがちですが、水草を導入することで隠れ場所になったり、生体間の距離を保ったりすることに役立ちます。混泳の際に魚が受けやすいストレスを軽減することにも役立ち、小型の魚が捕食されるのを防ぐなどのメリットもあります。
4.生体の産卵場所になる
水草は魚の産卵場所になることもあります。特に、メダカや金魚、エンゼルフィッシュなどが水草に産卵することが多いといわれています。水草の茂みが他の魚から卵や稚魚を守ってくれることにも期待できます。
5.景観が華やかになる
水草をレイアウトすることによって、水槽内を明るく、にぎやかな雰囲気にすることができます。見栄えも良くなり、インテリア性も高くなります。
6.水槽内を自然に近い状態にできる
水草を入れることで、水槽内を自然の環境に近づけることが可能になります。また、生体が住みやすい環境を作ることにもつながります。
どんな種類の水草があるの?魚との相性は?
水草には様々な種類がありますが、主に次の4タイプに分けることができます。
1.有茎タイプ
茎があり、茎の節から葉や新芽が発生するタイプの水草です。水面に向かって直線または斜めに伸びるのが特徴です。有茎タイプで有名なのはパールグラスやグリーンロタラ、カボンバなどです。
幅広い魚と同居させることが可能ですが、海水魚や汽水魚、オスカーなどの大型の肉食魚、コリドラスなど砂に潜る習性を持つ魚などとの同居は控えましょう。
2.ロゼットタイプ
短い茎から葉を放射線状に発生させるタイプの水草です。有茎タイプと比べると成長が緩やかなのが特徴です。ロゼットタイプで代表的なのはアヌビナスナナ、アマゾンソード、クリプトコリネ類などです。
葉が堅いタイプは、葉が魚のヒレを傷つける恐れがあります。ベタやエンゼルフィッシュなど、ヒレが繊細で長い魚との同居は避けましょう。
3.浮き草タイプ
葉を水面に浮かべ、根を水中に張って成長するタイプの水草です。繁殖しやすいのですが、増え過ぎると光を遮ってしまう一面もあります。浮き草タイプで有名なのはホテイアオイ、サルビニア・ククラータ、アマゾンフロッグピットなどです。
メダカや金魚など、ビオトープに向いている魚との相性が良いでしょう。水中に根を張るため、水面に近い場所を泳ぐグッピーなどとの同居には注意が必要です。
4.モスタイプ
水ゴケタイプの水草です。根を張らないため、流木や岩などに活着させてレイアウトする場合が多いです。成長スピードが速く、繁殖しやすいのが特徴です。モスタイプで代表的なのはウィローモス、南米(なんべい)ウィローモスなどです。
熱帯魚やエビ類など、幅広い生体との相性が良い水草です。繁殖が進むと茂みができるため、隠れ家としても役立ちます。一方、柔らかい水草を引き抜く魚との同居には向いていません。
水草の育て方は?うまく育たない原因は?
水草の育て方は種類によって異なりますが、おおまかには次のポイントに注意して育成しましょう。
1.水温・水質を合わせる
水草にはそれぞれに適した水温や水質がありますので、育てたい水草が好む水温・水質について把握しておきましょう。
2.光を当てる
水草は、光と二酸化炭素によって光合成を行いながら育ちます。光量が必要ない水草もありますが、きれいに育てたい場合は照明などを使用することをおすすめします。
3.二酸化炭素を添加する
二酸化炭素は水槽内にも存在していますが、量が少ないため人為的に添加した方が美しく育つ水草もあります。水槽内の二酸化炭素だけで成長する水草もありますので、必要に応じて添加しましょう。
4.肥料を与える
水草は栄養分が不足すると枯れることがあるため、肥料を与えることも必要です。水草の肥料には、根から吸収させる固形タイプと葉から吸収させる液肥タイプがありますので、種類などに応じて添加しましょう。
5.定期的にお手入れを行う
水草の育成には、トリミングなどのお手入れを行うことも必要です。草体上部にボリュームが出ると下の部分が影になって枯れる原因にもなるため、定期的にお手入れを行いましょう。
水草が枯れたり溶けたりしてうまく育たない場合は、上記のバランスが崩れている恐れがあります。光量は足りているか、水温水質は合っているかなど、飼育環境を見直してみることが重要です。
初心者におすすめの水草は?
パールグラス
有茎タイプで、気泡を出す姿が美しい水草です。20cmほどに成長することもありますが、地面を這って育つ性質もあるため、前景から後景にかけての幅広いレイアウトに利用できる水草です。
アヌビアスナナ
ロゼットタイプで、一株でも存在感があるのが魅力の水草です。活着する習性があるため、底砂に植えるだけでなく、流木や岩などに固定したレイアウトにも利用できます。
ウィローモス
モスタイプの一種で、岩や流木にくくり付けることで様々なレイアウトに使用できる水草です。丈夫なため、幅広い水質に適応できる点も魅力です。
マツモ
金魚藻の一つと呼ばれている水草で、浮かべておくだけで成長するのが特徴です。低い光量でも成長し、二酸化炭素を必要としないため管理しやすいのもポイントです。
まとめ
水草がなくてもアクアリムを楽しむことは可能ですが、水草には水質浄化や生体のストレス軽減など様々な役割やメリットがあります。飼育する魚との相性やレイアウトなども考えながら、自分に合った水草を入れて育ててみましょう。