エンツァイとは?育て方や増やし方のコツは?
エンツァイは中国(ちゅうごく)野菜の一種で、「空芯菜」とも呼ばれています。栄養価も高いため、さまざまな料理に使用されることで有名な植物です。
食用として用いられることが多いエンツァイですが、水草の一種でもあります。つる性の浮遊植物で水質浄化力も高いため、観賞用として庭池などで栽培されています。
今回は、エンツァイの特徴や育て方・管理のコツなどについてご紹介します。
目次
エンツァイってどんな草?
エンツァイは、ヒルガオ科サツマイモ属に分類される植物。東南アジアを原産とし、日本では中国から沖縄(おきなわ)に伝わり、その後九州(きゅうしゅう)に渡ったといわれています。つる性の浮遊植物で、水辺などで水面に茎を浮かせて成長します。
茎の内部は空洞になっており、別名である「空芯菜(クウシンサイ)」の由来にもなりました。サツマイモの葉に似た葉をつけ、アサガオに似た花を咲かせるのも特徴のひとつです。
多年草の一種ですが、作物としては一年草として知られています。水槽での育成については、いわゆる沈水植物ではないため、庭池やビオトープ、アクアテラリウム水槽での栽培に向いています。
エンツァイの育て方はむずかしい?
エンツァイの育て方はそれほど難しくないといわれています。湿地を好むため、水耕栽培や水栽培にも適しています。成長スピードも速いため、収穫目的で育成することも可能です。高温には耐えますが寒さには弱いですので、温度管理に注意する必要があります。
エンツァイの増やし方のコツは?
エンツァイは実生でも増やせますが、挿し穂の方が手軽で簡単に増やすことができます。
- エンツァイの下の方の葉をカットし、上部の葉を3~4枚程度残します
- 残った葉を2分の1程度カットします(水分の蒸発を防ぐ効果があります)
- 水を入れたコップなどに挿します
- 数日で節から発芽します
コップの水は、濁ったら替えるようにしましょう。特に春から夏のシーズンは水が腐りやすいので、毎日替えるようにしてください。
エンツァイを購入するときの選び方は?
エンツァイは熱帯魚ショップでの取り扱いは少なく、どちらかというと園芸店などで種の状態で販売されていることが多いです。つるの有無、葉の大きさや調理法などいくつか品種がありますので、自分好みの種類を選ぶことができます。
エンツァイに適した水温や水質は?
エンツァイが好む水温は20度~28度程度といわれています。水質については、弱酸性~弱アルカリ性の軟水~中硬水が適しています。耐寒性に乏しい傾向があるため、水温が下がらないよう注意して管理する必要があります。
エンツァイの水質浄化効果は?
エンツァイには塩分や窒素・リンなどを吸収する性質があるため、水質浄化活動にも多く用いられています。成長が速く暑さにも強いですので、貯水池での富栄養化対策などを目的に広く栽培されています。また、近年では汽水域での栽培が可能であることが確認されたため、津波の被害地や海岸近くの農地での育成にも期待されています。
エンツァイが枯れたり溶けたりする場合に考えられる原因と対処法
エンツァイは寒さにとても弱い傾向があります。気温が10度以下になると、葉や茎だけでなく根も枯れてしまうことが多いですので、温度が下がらないよう注意して育てましょう。降霜が原因で枯れることもあります。庭池やベランダでのビオトープなど屋外で栽培している場合は、冬場の育成には期待しない方がいいかもしれません。また、屋外で育成する場合は青虫やバッタなどの食害にも気をつけてください。防虫ネットや駆除剤などを使用して対処しましょう。
エンツァイと相性のよい魚、悪い魚は?
相性のよい魚は?
エンツァイと相性が良いのは、メダカやアカヒレなどの小型で水質変化に強い魚です。特にメダカはビオトープで飼育する魚の定番といってもよく、品種改良も進みさまざまな種類が販売されています。
アカヒレも種類が豊富で、メダカに比べると華やかな生体が多いのが特徴です。そのほか、ミナミヌマエビやドジョウなどもビオトープに適しているといわれています。また、飼育環境によっては、金魚やタナゴなど少し大きめの魚とも同居が可能です。
相性の悪い魚は?
エンツァイと相性が悪いのは、コリドラスや淡水カレイなど砂に潜る性質を持った魚です。ビオトープはもちろん底砂を用いるアクアテラリウムにおいても、潜ることでレイアウトが崩れる恐れがあるので、あまりおすすめできません。
エンゼルフィッシュなど体高のある魚や、ディスカスなどの大型の魚も、水量の少ない環境での飼育には向いてないといえるでしょう。また、ヤマトヌマエビなど高温に弱い魚も、屋外でのビオトープには向いてないといわれています。
エンツァイを育てる魅力とは
野菜としての知名度が高いエンツァイですが、水質浄化効果が高く、水草としても有能な植物です。ビオトープの水面に浮かんだ草体を眺め、花を咲かせてみるのもすてきです。ぜひこの機会に育て方のコツを覚えて、エンツァイを迎えてみてくださいね。