タツノオトシゴの飼育方法:餌は何を食べるの?寿命はどのくらい?
タツノオトシゴは、独特の容姿が竜や馬をイメージさせ、「竜の落とし子」「竜宮の駒」などとも言われます。魚とはかけ離れた外見ですが、海水魚の一種で水槽での飼育も可能です。いくつかポイントはありますが、コツをつかめば比較的飼いやすいといわれています。今回は、タツノオトシゴの特徴、飼い方の注意点などについてご紹介します。
目次
タツノオトシゴはどんな魚?寿命はどのくらい?
タツノオトシゴは、トゲウオ目に属する海水魚の一種。飼育下での寿命は2、3年ほど。環境次第では5年、長くて10年ほど生きる個体もあるようです。
主な生息地は熱帯・温帯の浅い海など。通常の魚類とは違い、腹ビレがなく、胸ビレの後ろにエラがあります。長い尾を有し、サンゴなどに巻きつくことが可能です。ボディーはうろこではなく凹凸のある甲板に覆われ、顔の前方に管状の吻(ふん)を有しています。胸ビレと背ビレを使い、直立姿勢でゆっくりと泳ぐ姿が特徴的。また、オスが「育児嚢(いくじのう)」という袋を有し、メスから卵を受け取って孵化する繁殖方法も有名です。
タツノオトシゴの飼育は難しい?
タツノオトシゴは、海水魚を飼うための一般的な器材を準備すれば飼育が可能で、飼育しやすいといわれています。ゆっくり泳ぐ性質ゆえに、速く泳ぐ魚にストレスを感じたり、餌を横取りされたりする恐れがありますので、単独での飼育が推奨されています。
どこで販売されてるの?購入するときの選び方は?
タツノオトシゴは、熱帯魚ショップやネット通販などで購入することができます。ワシントン条約によって輸出入に規制があり、流通量が少ないためか、値段は若干高めに設定されている印象です。種類やサイズにもよりますが、3,000円前後から10,000円前後で販売されています。
名前:タツノオトシゴ(オオウミウマ)
税込価格:8,280円
タツノオトシゴの飼育に適した水槽は?
タツノオトシゴは、30cmなど小型水槽での飼育が可能です。しかし、水質を維持するなど安定した水槽環境を整えるためには、60cm程度の水槽を用意することをおすすめします。どのサイズを選ぶにせよ、深さのある水槽を選ぶことがポイントです。大きめのサイズであれば、朝晩や季節の水温の温度差をやわらげる効果も期待できます。また、適切な水槽環境を維持するだけでなく、タツノオトシゴをのびのびと元気に育てることにもつながります。
タツノオトシゴの飼育に必要なアイテム
水槽以外では、主に次のような設備・道具を準備しましょう。
- 水槽台、水槽マット
- 照明
- サンゴやロックなど
- クーラー・冷却ファン、ヒーター
- 水質調整剤・カルキ抜き
- ろ過フィルター
- エアーポンプ
- 水温計、水質測定キット
- 人工海水
- 比重計
- pH測定器
- pH調整剤
- ピンセット
- 水換えポンプ、バケツ
- 餌
タツノオトシゴは海水魚なので、一般の水槽設備やグッズに加えて、比重計などの海水環境を整える道具を準備することが必要です。最近では、海水環境を作るキットも販売されていますので、チェックしてみてください。
水槽の立ち上げ方
- 水槽を洗って乾かし、水槽器具を備え付けます。
- あらかじめカルキ抜きした水に人工海水の素を加え、海水を作ります。比重計を用いて、一般的な海水濃度である3.2%程度を目安に調整します。(海の水をそのまま使用することも可能です)
- フィルターを作動させ、水を循環させます。酸素が流れてバクテリアが発生し、フィルターに定着します。バクテリアをしっかり定着させるため、1か月程は循環させましょう。この作業の期間を見込んだうえで個体を購入してください。また、タツノオトシゴはゆっくり泳ぎますので、水流はごく弱めに設定しましょう。
水合わせの手順は?適した水温や水質は?
タツノオトシゴは、水温と水質に敏感だといわれています。入手元と自宅水槽との差に驚いて体調を崩すこともありますので、慎重に水合わせを行う必要があります。
適切な水温に関しては、種類にもよりますが総じて18度~23度が目安といわれています。水槽用のヒーターやクーラーを使って管理します。
水質についても、定期的に比重計・pH測定器を使って計測・調整しましょう。アンモニアなどの測定が可能な試薬があればより便利です。
餌は何を食べ与える量や頻度は?
タツノオトシゴは、イサザアミやワムシ、ブラインシュリンプなどの生き餌を好みます。生き餌の入手が難しい場合は、冷凍ホワイトシュリンプなどを代用する方法もあります。冷凍餌を餌付け済みのショップもあるので確認してみてください。1日3回程度、非常にゆっくり食しますので、ペースを見ながら食べきれる量を与えてください。
水変えの時期と方法は?
水換えは、2、3週間に一度、水槽の3分の1ほどを目安に行います。主な手順は以下の通りです。
- 新しい海水を作ります
- 水槽の水を排水します
- 新しい海水を入れます
新旧の海水温度を同じにすることも、水換えのポイントのひとつです。
タツノオトシゴを飼育する上での注意点
タツノオトシゴを飼う上で、特に注意したいのが転覆病です。転覆病は体内に入った細菌のガスにより発病し、潜水力が低下して水面近くに浮遊したままの状態になる病気です。発病を確認したら、水換えを行って水流を弱く設定し、長い止まり木を用意しましょう。止まり木につかまることで、体力の消費を抑える効果があります。
タツノオトシゴは普段からほとんど動かないため、病気になっても確認しにくいといわれています。常に健康状態をチェックするよう心がけましょう。
餌を食べない場合はどうする?
タツノオトシゴは、体表の性質上、痩せていることに気づきにくいといわれています。衰弱が進むと凹凸の部分が浮いた状態になり、手遅れになるケースもあります。日頃から、給餌の様子を観察するよう習慣づけましょう。
1種類の餌のみを与えると栄養バランスが偏る恐れがありますので、餌を食べなくなった場合は餌の種類を変えて様子をみてください。また、水温や水質が適度に保たれているかなど、水槽環境のチェックも行いましょう。
タツノオトシゴを飼育する魅力とは
独特のボディーが目を惹くタツノオトシゴ。直立でゆったりと遊泳する姿も印象的で、他の熱帯魚とは違う趣があります。愛嬌のある表情も魅力のひとつ。ぜひ飼い方のコツを参考にして、のびのびと育ててあげてくださいね。