水槽にバクテリアを入れすぎるとどうなるの?魚への影響は?
アクアリウムを楽しむためには、バクテリアについての知識や理解も必要です。バクテリアは水中の有害な物質を分解して無害化するなど、生体の飼育環境に大きく関わっているといわれています。
今回は、バクテリアの特徴や、水槽にバクテリアを入れ過ぎた場合に考えられるトラブル、バクテリアを入れる理由などについてご紹介します。
目次
バクテリアとは?
バクテリアは、大腸菌・枯草菌・シアノバクテリアなどを含んだ生物群のことで、細菌や真正細菌とも呼ばれます。生息地は空気中や土・河川、海底や熱水鉱床などで、地球上のさまざまな環境に存在しています。1-10μm程度のごく小さな生物ですが、光合成や有機物の分解など、物質の循環過程において重要な役割を担っています。
アクアリウムにおけるバクテリアとは、水槽に生息して「生物ろ過」を行う生物のことを指し、主に「好気性バクテリア」と「嫌気性バクテリア」の2種類があります。
好気性バクテリアとは
嫌気性バクテリアとは
水槽内では、好気性バクテリアが繁殖した環境にすることが理想的です。好気性バクテリアがアンモニアから分解した硝酸塩は水草によって多少吸収されますが、量が多いとコケの発生原因になるため、水換えを行って排出します。
水槽にバクテリアを入れすぎると魚が酸欠になる
バクテリア(好気性バクテリア)は、酸素をエネルギー源にして活動する性質を持っています。このため、増殖し過ぎると水槽内の酸素をより多く消費し、魚など他の生体が酸欠を引き起こすことがあります。状況によっては、エラから取り入れる酸素量が不足し、魚が窒息死してしまうこともあるようです。バクテリアは水質を保つ重要な役割を担ってくれていますが、増殖のし過ぎには注意が必要です。また、エアレーションを行うなど水槽への酸素供給を意識して管理することも重要です。
バクテリアの入れすぎは水槽の悪臭や水質悪化につながる
バクテリアを入れ過ぎると、分解活動がより活発に行われ、水槽内の酸素が大量に消費される可能性が高くなります。酸素が減少すると、いわゆる好気性バクテリアが住みにくくなり、嫌気性バクテリアが増殖しやすくなります。嫌気性バクテリアは毒性のある硫化水素を発生させるため、悪臭など水質悪化の原因になります。また、急激な水温変化やフィルターの掃除など、水槽環境が変化した場合も注意が必要です。好気性バクテリアが住みにくくなり、大量死が起こって飼育水が濁りやすくなるためです。
バクテリアの入れすぎによる魚への影響は?
バクテリアが魚に与える影響は、バクテリアのタイプによって異なります。
好気性バクテリアは、魚たちの生育環境にとってよい影響を及ぼします。好気性バクテリアは、魚の排せつ物や餌の食べ残しから発生する有害なアンモニアを亜硝酸に分解し、さらに毒性の弱い硝酸塩に分解する性質があります。飼育水を生育に適した水質に保つためには、なくてはならない存在です。
一方、嫌気性バクテリアが魚に与える影響はあまり好ましくありません。硝酸塩を窒素に分解して空気中に放出するという活動も行いますが、増殖すると硫化水素という毒性物質を発生させ、飼育水をどぶ川のような不快な臭いに変えてしまいます。水槽の水が臭ってきたら嫌気性バクテリアの増殖を疑った方がいいでしょう。また、嫌気性バクテリアは酸素をあまり必要としないため、水中の酸素が不足すると増殖しやすくなります。
なぜバクテリアを入れなければいけないの?
水槽にバクテリア(好気性バクテリア)を投入するのは、ろ過活動を行わせて水槽水を生物の育成に適した水質に保つためです。
バクテリアが存在しなければ、魚などの排せつ物や餌の食べ残し、水草の枯れた部分などから発生した有害物質のアンモニアが放置され、飼育水に蓄積されていきます。アンモニアは毒性が強いため、増え過ぎると魚がアンモニア中毒を起こして生息できなくなります。バクテリアは、そんな厄介なアンモニアを無害な物質に分解する働きを担ってくれます。正確には、好気性バクテリアの一種ニトロソモナスがアンモニアを毒性の弱い亜硝酸に分解し、ニトロスピラが亜硝酸をさらに毒性の弱い硝酸塩に分解する働きをするといわれています。
また、バクテリアの活躍によって、水換えなどの頻度を減らすことも可能になります。
水槽にバクテリアを入れすぎた場合のトラブルまとめ
バクテリアは目に見えないほど小さな生物ですが、生体の生育の鍵を握る重要な存在です。バクテリアを良好に管理することは、アクアリウム環境を快適に維持することにもつながります。また、バクテリアを入れすぎると水質の悪化や魚へ悪影響がでる場合もありますので、しっかりと適量を入れるようにしましょう。