水槽の油膜の原因は?対策や除去方法は?
油膜とは、水面に発生するギラギラとした膜のようなもので、アクアリウムを管理していると必ず目にする存在です。油膜の発生原因や対策方法はさまざまですが、放置すると飼育環境や生体に影響を及ぼすこともあるため、適切な対処を心がけたいところです。
今回は、水槽の油膜の正体や発生原因、除去方法などについてご紹介します。
目次
水槽に発生する油膜の正体
油膜の主な成分は、油ではなくタンパク質(有機物)だといわれています。水槽水のタンパク質は、餌の食べ残しや排せつ物、生体やバクテリアの死滅、枯れた水草などから発生します。このタンパク質が形成され過ぎると、水面に浮いて油膜といわれる状態になります。タンパク質が水面を覆い、酸素が放出されず泡のような形で残ることもあります。また、タンパク質に群がる細菌も、油膜を形成する一部になるといわれています。
水槽に油膜が発生する原因は?対策法は?
油膜の発生には、次のような原因が挙げられます。
1.ろ過バクテリアの未定着や減少・死滅
ろ過バクテリアには、水槽水をろ過して水質を保つ働きがあります。バクテリアがうまく定着しなかったり減少したりすると、ろ過のバランスが崩れて油膜が発生する原因になります。また、死滅したバクテリアの死骸が油膜となって水面に浮遊することもあります。
ろ過バクテリアの状態に注意して管理しましょう。バクテリアを活性化させるため、エアレーションを行って水中の酸素量を増やすことも効果的です。また、大がかりなフィルター掃除や水換えなども、バクテリアが減少する恐れがあるので極力控えるようにしましょう。
2.餌の与え過ぎ
魚など生体用の餌には、タンパク質が含まれています。生体が食べ残した餌を放置すると、腐敗して油膜が発生する原因になります。
餌を控えめに与えるか、回数を増やして与え、食べ残しが起こらないようにしましょう。また、高タンパクの餌や、食べ残しが分かりにくい沈降性の餌を控えるなど、餌そのものに注意することもポイントです。
3.過密飼育
生体の飼育数が多すぎると、排せつ物や餌の食べ残しが増えて水槽水が富栄養化し、油膜が発生しやすくなります。
水槽サイズに適した数の生体を飼育しましょう。既にたくさん飼っている場合は、生体を別の水槽に分ける、水換えの頻度を増やすなどという方法もあります。また、水換えの際は、底にたまった排せつ物を除去することも効果的です。
4.生体の死骸
生体の死骸にはタンパク質が含まれていますので、放置すると油膜が発生しやすくなります。また、枯れた水草も油膜を生成する原因になるといわれています。
生体が弱ってしまったり水草が枯れてしまったりした場合は、ただちに死骸を水槽から取り除きましょう。放置すると死骸の腐敗が進み、水質が悪化する原因にもなります。
5.水草のトリミング
水草をトリミングした際に、カット部分から発生した成分によって油膜が生成されることがあります。また、二酸化炭素(CO2)を添加し過ぎたり、液肥を与え過ぎたりしたりした場合も油膜が発生しやすくなるといわれています。
トリミング後、新芽が出揃うまでの間は二酸化炭素(CO2)の添加量や液肥の量を控え、油膜の発生を防ぎましょう。
6.水温の上昇
水温が上昇すると、ろ過バクテリアが活発になって水中の酸素の消費量が増えやすくなります。結果、バクテリアが酸欠を起こして死滅しやすくなり、その死骸が油膜の原因になることがあります。
特に夏場などは、クーラーを用いて水温を上昇させないように注意しましょう。また、エアレーションを活発に行って酸素量を増やすことも効果的です。
7.水質調整剤の入れすぎ
カルキ抜きなどの水質調整剤には、生体の粘膜を保護する成分が含まれていることがあります。このため、水質調整剤を入れ過ぎると油膜が発生しやすくなります。
水質調整剤は規定量を守って使用しましょう。入れ過ぎて油膜が発生した場合は、3日ほど様子を見て、改善しないようなら水換えを行いましょう。
水槽の油膜の除去方法は?
油膜の除去には、主に次のような方法があります。
1.水換えを行う
油膜の発生は水質悪化のサインであることも多いため、水換えを行って環境を整えましょう。水換えの際は、水槽の3分の1程度を排水し、カルキ抜きした新しい水を追加します。
2.エアレーションを行う
エアレーションを行うと水面に浮かんだ油膜が水槽内にかくはんされるため、油膜が減少しやすくなります。また、エアレーションによって水中の酸素量も増加しますので、バクテリアの活性化にも効果的です。
3.水流を発生させる
外掛けフィルターや外部フィルターの排水パイプ、リリィパイプなどを水面に当てて水流を発生させます。水流によって水面がかき混ぜられ、油膜を除去することが可能になります。
4.油膜を食べる生体を飼育する
ブラックモーリーやボラ、ヒメタニシなど、油膜を食べる生体を飼育するのもおすすめです。ブラックモーリーは餌や排せつ物の量が多いため、飼育数に注意しましょう。
5.油膜取り器を導入する
水面の水を吸い上げ、水面に浮遊するゴミなども除去してくれる油膜取り器(サーフェススキマー)を使用する方法もあります。さまざまなメーカーから販売されていますので、チェックしてみてください。
水槽の油膜取りは自作できる?作り方は?
油膜取りは、自分で作成することも可能です。
- 外部フィルターで使用する吸水パイプを用意します。
- 吸水パイプより少し太いパイプを用意します。
- 園芸用ネットとスポンジを用意し、2のパイプの内径に合わせてカットします。
- 2のパイプの中に、スポンジ→ネット→1のパイプの順に入れ、水槽にセットします。キスゴムなどを使用して固定させましょう。
そのほか、キッチンペーパーで油膜を吸い取る方法もあります。また、おたまなどですくう方法もありますが、飼育水が減りやすいため、新しい水を補充する必要があります。
水槽の油膜を放っておくとどうなるの?
水面に油膜が覆った状態が続くと、水中の酸素や二酸化炭素が放出されにくくなります。このため、水中の生体やろ過バクテリアが酸欠になりやすくなります。また、油膜が水面を覆うことによって水が蒸発しにくくなるため、水温が上がりやすくなります。水温の上昇はろ過バクテリアを活性化させますが、水中の酸素の消費量が増えるため、新たな油膜の原因にもなります。見た目にもきれいではないため、速めに除去するようにしましょう。
まとめ
油膜は厄介な存在ですが、水槽水の状態を確認するバロメーターにもなります。日頃から予防を心がけ、発生してしまった場合は適切に対処しましょう。ここでご紹介した内容を参考に油膜対策を行って、きれいな水槽水を維持してくださいね。