クロダイ(チヌ)の飼育方法:餌は何を食べるの?寿命はどのくらい?
クロダイは、シルバーのボディにうっすらとしま模様が入っている海水魚で、西日本(にしにほん)では「チヌ」とも呼ばれています。釣りや食用として人気がありますが、観賞用に飼育することも可能です。大型のため管理にはコツが必要ですが、飼い慣れると長期飼育にも期待できます。
今回は、クロダイの特徴や飼い方のコツ・注意点や餌や寿命などについてご紹介します。
目次
クロダイとはどんな魚?寿命は?
クロダイは、タイ科に属する魚の一種。生息地は東アジアの沿岸域などで、国内では奄美大島(あまみおおしま)以南の南西諸島を除いた日本列島のほぼ全域に生息しています。銀色の体表に薄黒いしま模様が入っているのが特徴です。体長は最大で70cm以上に成長しますが、捕獲されるのは30cmほどまでの個体が多いです。また、条件を満たせば成長の過程でオスからメスへ性転換をすることでも知られています。
寿命は10年以上、環境によっては20年以上生きることもあります。
クロダイの飼育は難しい?飼うときのコツは?
クロダイは適応力が高く、人に慣れやすい性質を持っているため、飼育の難度はさほど高くないといわれています。飼育する際は、大型魚のため水槽環境を整えることと、給餌や取り扱いに注意して管理することなどがポイントになります。
クロダイを購入するときの選び方は?
クロダイはショップでの取り扱いが少なく、自分で漁獲して入手するのが一般的です。成魚の場合は防波堤など、幼魚や若魚の場合は河口域などでよく見かけます。活きがよく、ヒレなどに欠けがない生体を選びましょう。また、釣った個体を入れる容器にはエアレーションをすることをおすすめします。
クロダイとの混泳のルールや注意点は?
クロダイは雑食ですが肉食性が強いため、飼育するクロダイより小さな魚や甲殻類・貝類などとの混泳には向いていません。クロダイは警戒心が強い一面もあるため、単独で飼育するか、混泳させたい場合は同サイズ以上の魚を選ぶケースが多いようです。混泳させる際は、岩など隠れ家や障害物になるようなものを配置しましょう。
クロダイの飼育に適した水槽は?大きさは?
クロダイは飼育下においても30cm以上に成長することが多いため、最低60cm以上の水槽を用意する必要があります。混泳させる場合は、生体の過密飼育や水質の悪化などを防ぐために、より大きな水槽を準備しましょう。また、クロダイは底砂や砂利・岩などがある環境を好む傾向がありますので、レイアウトを工夫することも重要です。
クロダイの飼育に必要なアイテムは?
水槽以外には、次のような器材や道具を準備します。
水槽設備に必要なアイテム
- 水槽台など
- 照明
- 底砂
- 岩など
- ろ過装置
- ヒーター、クーラー・冷却ファン
- 水質調整剤・カルキ抜き
- エアーポンプ
海水作成・調整に必要なアイテム
- 人工海水の素
- 比重計
- pH測定紙
- pH調整剤
その他のアイテム
- 熱帯魚用網
- ピンセット、バケツ
- 掃除グッズ
- 餌
水槽の立ち上げ方は?
- 水槽を丸洗いし、乾燥させます。
- 水道水をカルキ抜きしておきます。
- カルキ抜きした水に人工海水の素を加え、海水を作ります。比重計を使って塩分濃度を調節しましょう。
- 水槽に器具を設置し、レイアウトなどを行って、3で作成した海水を入れます。
- ろ過装置を作動させて水を循環させます。1か月程度は水のみを循環させて水槽環境を整えます。
なお、水槽環境を整えたあとでクロダイを入手してください。
水合わせの手順は?クロダイに適した水温や水質は?
クロダイは工業地帯の港湾など水質の悪い場所でも生息できるほど丈夫な魚ですが、急激な水質変化によって体調を崩す可能性もありますので、念のため水合わせを行いましょう。
- クロダイが入った袋を水槽に浮かべます(30分~1時間ほど)
- 袋の中に水槽の水を3分の1ほど入れて待ちます(1~2時間ほど)
- 2の作業を4~5回ほど繰り返します
- 水槽に生体を移動させます。
クロダイは5度~30度と幅広い水温に対応できる魚ですが、適温は15度~25度といわれています。また、水質は弱アルカリ性が適しているようです。
クロダイの餌は?1日に与える餌の量や与える頻度は?
クロダイは雑食性で、何でも食べることで知られています。クリルやイソメ、オキアミやエビ類のほか、人工飼料も食すといわれています。また、スイカやトウモロコシなどを餌にすることもあるようです。食べ残しが起こらない程度にたっぷりと与えてあげましょう。
水変えの時期と方法は?
水換えについては最低でも月に2回ほど、水槽水の3分の1の水を換水します。クロダイは食欲が旺盛で排せつ物も多いため、水質が悪化しやすくなります。飼育水の様子を見て、適宜水換えを行うことをおすすめします。
クロダイを飼育する上での注意点
クロダイは丈夫な魚といわれていますが、白点病などにかかることもありますので注意が必要です。白点病は体表やヒレなどに白い斑点が付く病気で、発見したら塩浴や薬浴を行って手当てします。水質が悪化し過ぎるとアンモニア中毒にかかることもありますので、日頃から生体の様子や水質をチェックし、飼育水を清潔に保って管理することが重要です。また、クロダイのヒレには鋭いトゲがありますので、素手でつかまないようにするなど、取り扱いには十分に気を付けましょう。
餌を食べない場合はどうする?
クロダイは警戒心が強く臆病な面があるといわれているため、新しい環境に戸惑って餌を食べない可能性も考えられます。飼い始めて約2か月も餌を食べない時期があったという例もありますので、しばらくは生体の様子をみてもいいでしょう。また、餌を選り好みしている場合もあるため、数種類の餌を与えてみるという方法もあります。魚介類だけでなくスイカやコーンなども食しますので、バリエーションを持たせて給餌してみてください。
クロダイの魅力とは?
クロダイは熱帯魚のような派手さはありませんが、落ち着いた存在感が魅力的な魚です。大きく成長し、寿命も長いので育てがいがありますよ。ご紹介した飼育のコツを参考にして、クロダイの育成に挑戦してみてくださいね。